遺産分割において葬儀費用をどうするか
私たちは東京国分寺の相続手続き専門の司法書士事務所です。国分寺で事務所を開設してまもなく20周年を迎えようとしています。
これも地域の皆様のおかげです。この場を借りて感謝申し上げます。
さて、今回のテーマは「遺産分割において葬儀費用をどうするか」です。そもそも葬儀費用は誰が支払うべきものなのでしょうか。また、頂いた香典は誰のものなのでしょうか。
遺産分割と葬儀費用
遺産と葬儀費用は別モノ
葬儀費用は故人が亡くなった後に生じる費用です。ですから、故人が生前に負担した債務(借金)ではありませんから、法律上遺産から支出が認められる「相続財産に関する費用」とは言えません(建前ですけれどもね)。
したがって、葬儀費用の金額や、どこまでが葬儀費用に含まれるのか等について相続人間で争いが生じた場合は、遺産分割の中で解決することではなく、別途の民事訴訟手続きで解決すべきであると言えます。
実務上はどうしているか
そうは言いながら、多くの場合は遺産分割協議や遺産分割調停の中で葬儀費用の問題も併せて話し合われています。
遺産分割協議や遺産分割調停の中で相続人同士の合意が調えば、その中で葬儀費用の問題も決着を付けることはできます。
しかし、相続人間の合意が調わない場合は、別途葬儀費用に関する訴えを提起して、民事訴訟手続きの中で決着するしかありません。実際そのような裁判例も数多く存在します。世の中には、葬儀費用でもめている人は割と多いのですよね。
葬儀費用に含まれるもの、含まれないもの
一般論として一応の目安はあります。相続人間で意見が分かれた場合には、以下の一般論を参考に、訴えまで起こして解決すべき問題か否か慎重に検討することが肝心です。
- 遺体運搬費用→含まれる
- 棺桶代→含まれる
- 通夜・告別式等で葬儀業者に支払った費用→含まれる
- 僧侶や寺へのお布施→含まれる
- 火葬費用→含まれる
この辺りは、争いがありません。
- 通夜・告別式の弔問者への御食事代・御礼→△
これについては、含まれないとした裁判例があります。しかし、慣習上弔問者に対する儀礼としてこれらは一般的に行われており特別な事でもありません。したがって、一般論としては葬儀費用に含まれるとして問題は無いと考えます。
- 初七日・四十九日の法要に係る費用(お布施やお食事代等を含む)→△
これについては見解が分かれています。初七日や四十九日が本葬と一体化したものと言えるのか、また違った祭祀という位置づけなのか等、その地域や宗教の慣習などにより解釈が変わってきます。
例えば初七日については、出席者の都合も考慮して本葬と併せて行ってしまう場合もありますよね。そうであれば本葬と正に一体化したものと言えるので葬儀費用に含まれると考えて問題ないでしょう、
- 一周忌・三回忌に係る費用→含まれない
これについては、一般的には葬儀費用には含まれないと考えられています。したがって、祭祀主宰者が負担すべきという事です。
- 墓地・墓石の取得費用→△
これについては、どちらかというと葬儀費用には含まれないという見解が多数です。
葬儀費用は誰が負担すべきか
葬儀費用を誰が負担すべきかについては、法律の定めはありません。したがって、故人の指示があればその者が負担することになるでしょうし、相続人間の合意があればその者が負担することになります。
故人の指示や相続人の合意がなく、葬儀費用について争いが生じた場合、その負担者の決定方法には次の4パターンがあります。
1、喪主が負担する
2、相続人全員が負担する
3、遺産の中から支出する
4、慣習による
これは、仮に葬儀費用を誰が負担すべきかについて別途の訴えが提起された場合の4つの解決方法、という意味です。
したがって、どのパターンにあてはまって決着がつくかは事例によって異なります。あるケースでは喪主が負担するという判決が出るかもしれませんし、また別の事例では遺産の中から支出してもいいよとなるかもしれません。
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東京司法書士会会員
令和4年度東京法務局長表彰受賞
簡裁訴訟代理等関係業務認定会員(法務大臣認定司法書士)
公益社団法人成年後見リーガルサポート東京支部会員
家庭裁判所「後見人・後見監督人候補者名簿」に登載済み
公益財団法人東京都中小企業振興公社「ワンストップ総合相談窓口」相談員
公益財団法人東京都中小企業振興公社「専門家派遣事業支援専門家」登録