【司法書士監修】相続した後から遺言書が出てきた!|解決法や対処法とは

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相続が発生して、相続人全員の同意で遺産分割協議が終わり、ほっとしたのもつかの間、後から故人の遺言書が発見された場合、法律上はどのようなことになるのでしょうか?

特に気になるのが、すでに成立してしまった遺産分割協議がそのまま有効なのか、それとも遺言書の存在によって無効になってしまうのか、ですね。

決して珍しい事例ではないため、同じようなお悩み・疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。

このページでは、創業20年以上、地域随一の相続専門の司法書士事務所であるこん・さいとう司法書士事務所が、相続の手続き終了後、後から遺言書が発見された場合の対処法や、そうならないようにするための予防方法について解説します。ぜひ参考にしてください。

すでに成立した遺産分割協議の効力をどう扱うかは結局「相続人次第」

相続手続きが終了した後に、遺産分割協議の内容とは異なる内容の遺言書が発見された場合、すでに成立した遺産分割協議をこのまま有効と扱うべきか、無効とするべきか、はっきりした法律の規定はありません。

ただし、下で説明するような過去の裁判例はあるので、実務的にもこの判例に基づいて検討していくことになります。

結論としては「相続人次第」となります。

つまり、相続人がこの事態をどのように考えるかで、すでに行われた遺産分割を有効にも無効にもできる余地があると言うことです。

参考になる過去の裁判例|遺言書があるのを知りながらあえて遺産分割協議に応じたケース

それでは、過去の代表的な裁判例がどのように結論付けているのかを見てみましょう。

特定の遺産の遺贈を受けた相続人が、遺言の内容を知りながら、他の共同相続人との間で遺言と異なる遺産分割協議をした場合は、遺贈の全部または一部を放棄したものと認められ、遺産分割の協議は有効になる(東京地裁判例平成6年11月10日)

この事例は、後から遺言書が出てきたというよりも、遺言書の存在・内容を知りながら、これとは異なる内容で遺産分割協議に応じた、というケースです。

一般的には遺言書があれば、遺言書通りに相続するのが普通ですが、相続人全員(さらに遺言執行者がいればその者も含む)の同意があれば、遺言書とは異なる遺産分割協議も可能です。

「相続人全員の同意」というのがポイントで、一人でも承諾しなければ、遺言書自体が無効とならない限り(たとえば遺言無効確認訴訟で無効判決を取る等)、かならず遺言書の内容が優先します。

遺言通りに相続しないと、遺言執行者がいる場合は「遺言の執行妨害」になるのではないか

民法という法律に次のような規定があります。

(遺言の執行の妨害行為の禁止)
第千十三条 遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。
2 前項の規定に違反してした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
3 前二項の規定は、相続人の債権者(相続債権者を含む。)が相続財産についてその権利を行使することを妨げない。
民法e-Gov法令検索

遺言執行者がいる場合は、遺言書通りに相続しないとダメ、これに反するような行為は無効、となります。

そうすると、遺言書と異なる内容で遺産分割協議をしても、遺言の執行を妨げる行為、と認定されて、この遺産分割協議は無効となることもあるでしょう。

ただ、この裁判の事例においては、そのようには認定されていませんでした。

たまたまこの裁判で問題になった遺言書と遺産分割協議の内容では「執行妨害」にならなかったというだけで、事例によっては「執行妨害」になることもありえます。このあたりは慎重な判断が必要だと思います。

なお、こちらの判決については宮城県の弁護士の小松先生がくわしくまとめられています。詳細を知りたい方はリンクを貼りますのでそちらをご参照ください。

■遺贈より遺産分割協議を優先した平成6年11月10日東京地裁判決全文紹介|弁護士小松亀一法律事務所

参考になる過去の裁判例|遺言書があるのを知らないで遺産分割協議に応じてしまったケース

さて、次の裁判例です。

こちらは、遺言書の発見前に行われた遺産分割協議が有効か無効かが争われた事案です。つまり後から遺言書が発見された、というケースです。

遺言の存在を知らずに遺言の趣旨と異なる遺産分割協議の意思表示がなされた場合、遺言を知っていれば同様の意思表示をしなかった蓋然性がきわめて高いときには要素の錯誤がないとはいえない(最高裁判例平成5年12月16日)

「要素の錯誤がないとはいえない」は法律的な独特の表現です。分かりやすく言うと「無効となる可能性がある」という意味です。

一般的な常識では、遺言書があれば遺言書の内容通りに遺産分けをするはずです。遺言書の内容は無視して、相続人で分けたいように自由に遺産分割をしようとは思いません。

普通の人はこのような常識的な考え方をするはずだ、という前提のもとにこちらの判決はあります。

つまり、「遺言書の内容がはじめから分かっていればこんな内容の遺産分割はしなかったはずだ」という相続人がいるのであれば、すでになされた遺産分割協議は錯誤を理由として取り消すことができる(無効にできる)、という結論になります。

またこれと同じ意味で、「遺言書の内容を知っていたとしても同じ内容の遺産分割をしたはずだ」と判断される場合は、遺産分割協議の意思表示に錯誤はなかったことになり、そのまま協議は有効となるでしょう。

たとえば、遺言書の内容どおりに相続してしまうと、相続税がかかりすぎてしまうような場合は、節税をするために、あえて遺言書とは異なる遺産分割をすることがあります。

遺産分割が無効となった場合の事後処理は?|登記手続きや預金・株式など

それでは、遺言書が後から発見されて、すでになされた遺産分けが無効となった場合のその後のことを解説します。

遺産分割自体はすでに終わっているので、遺産分割協議書にもとづく相続登記(名義変更)は終わっているはずですし、預貯金の解約、株式や投資信託の相続手続きも終わっているものとします。

結論ですが、もし、遺言書通りなら受け取るべきでない相続人は、本来相続するべき人に返還する必要があります。

解約済みの預貯金などは受け取った全額を返還する

たとえば、相続人Aは遺産分割協議によって100万円を相続したが、遺言書にはAが100万円を相続するとは書かれていなかったような場合。この時、Aは100万円を本来相続するべき人に返さなければなりません。

そして、Aが100万円のうち10万円をすでに使ってしまっていたとしても、100万円全額を返還する必要があります。

株や投資信託などの有価証券も同じように返還をしていきます。

任意に返還に応じないような場合は、不当利得などを理由に裁判を起こすことになります。

不動産の登記はいったん抹消登記をするか更正登記をすることになる

すでに名義変更されてしまった不動産はどうするか。

こちらは一回なされてしまった登記を抹消して遺言書の内容通りに相続登記をやり直すか、所有権更正登記と言って一部内容を修正する登記をするかのどちらかになります。

どちらになるかはケースによって異なります。一般の方には難しい手続きですから、登記の専門家である司法書士に相談してください。

こちらもすでに登記名義を持っている相続人が任意に登記手続きに協力してくれなければ、裁判を起こさなければなりません。

「後から遺言書が発見された」を防止する対処法はないか?

これまでに説明した通り、相続手続きが完了した後に遺言書が発見された、となると相続人には大迷惑な話です。

相続人の為を思ってせっかく遺言書を残しておいたのに、それが反対に迷惑をかけることになるのであれば、本末転倒でしょう。

つまり、遺言書を書くなら、その内容をしっかりしたものにすることだけでなく、亡くなると同時に、速やかに遺言書通りに遺産分けを進めてもらうような工夫もしておかなければならないということです。

それではどのような工夫をすればよいのでしょうか?法律的な見地から考えてみます。

遺言書は公正証書で作り、生前に保管場所を周知させる

まずは、遺言書の保管場所を相続人にあらかじめ知らせておくことが大切です。遺言書の内容まで相続人に知らせる義務はありません。せめて保管場所だけでも知らせておけば「後から出てきた」ということは避けられるはずです。

ただ、保管場所が相続人に知れてしまうと、場合によっては自分の知らない間に、相続人によって遺言書が偽造されたり書き換えられたりするかもしれません。

これを防ぐためには、遺言書を公証役場で作成しておく方法があります。

こうしておけば、遺言書の偽造・変造の心配は無くなります。

自筆で遺言書を作成した場合は、自宅で保管しないで、これを法務局に預ける制度を利用すれば、遺言書の偽造・変造のリスクはなくなりますね。

遺言執行者に専門家を指定しておく

遺言書には、死後の手続きを委任する遺言執行者をあらかじめ指定しておくことができます。

この時、司法書士や弁護士などの相続の専門家を遺言執行者に指定しておけば、通常はその専門家が遺言書(あるいはその写し)を保管しますので「後から遺言書が出てきた」ということは避けられるはずです。

「こん・さいとう司法書士事務所」が選ばれる理由

いかがでしょうか。相続手続きが完了した後に遺言書が発見された場合は、非常に難しい判断となることが多いです。

結論は「相続人次第」とは書きましたが、遺言書が発見されたことにより、利益を受ける相続人と、不利益を受ける相続人が対立することになるため、当事者の話し合いで解決するのは困難となり、お互いに弁護士を立てたり、最終的には裁判となるでしょう。

「こん・さいとう司法書士事務所」を遺言執行者に指定することで上記のお悩みは解決

以上を踏まえまして、当事務所「こん・さいとう司法書士事務所」が、これまで多くの上記のようなお悩みをお持ちの皆様から、確実な公正証書遺言の作成・遺言執行者の依頼先に選ばれている理由を以下にお伝えします。

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  • 一般的な司法書士ではなく「相続専門」であるため、相続に関連する裁判所に関する手続き(不在者財産管理人、失踪宣告、遺産分割の調停の申立、相続放棄、相続財産管理人の選任など)、遺言書の作成、遺言執行にも精通しているため安心感がある
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ご相談お待ちしております! 左|司法書士 今健一  右|司法書士 齋藤遊

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こん・さいとう司法書士事務所は、遺産相続の手続き専門の司法書士事務所です。東京国分寺で20年以上に渡って運営、相続問題・相続に関連する業務に取り組んできました。オンラインにより全国対応をしています。

このページでお伝えしたかったポイントは次の3点です。

  • 「相続手続きが終わった後に遺言書が発見された」ときは、そのままでいいケースもある
  • 「相続手続きが終わった後に遺言書が発見された」ときは、遺産を返還しなければならないケースもある
  • 「後から遺言書が発見」を避けるためには、保管場所の周知と遺言執行者の指定が重要

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