【司法書士監修】遺言書に書いてある金額が足りない|遺言の執行をめぐるトラブル

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亡くなった人が遺言書を残しているケースは、最近特に増えてきているように実感しています。

この場合、遺言書に書いてある通りに遺産を分けることになるのですが、「計算しても遺言書に書いてある金額では足りない」というケースも実際にあります。

同じようなお悩み・疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。

このページでは、創業20年以上、地域随一の相続専門の司法書士事務所であるこん・さいとう司法書士事務所が、遺言書に書いてある金額では足りない場合の対処法や、そうならないようにするための予防方法について解説します。ぜひ参考にしてください。

「遺言書に書いてある金額が不足」でも、遺言書自体は有効

まずは「遺言書に書いてある金額が不足」とは、具体的にはどのようなケースを言うのでしょうか。

例えば「Aに現金1000万円を相続させる」と遺言書には書いてあるのに、実際には現金は10万円しか残っていなかったというケースが一番分かりやすいかもしれません。

この様な場合に、そもそもこの遺言書は有効なのか?と疑問に思われることでしょう。

結論を言いますと、法律的には金額が不足しているからといって、その遺言書が直ちに無効になると言うことはありません。

金額が不足していたら不足分は誰からもらえるのか?

上の例でお伝えした「Aに現金1000万円を相続させる」と遺言書には書いてあるのに、実際には現金は10万円しかなかったというケース、結局Aはいくらもらえることになるのでしょう。

答えは、この場合、Aは10万円しか相続できないことになります。

では不足分の990万円は他の相続人などに請求して払ってもらえるのかというと、そのような法律はありません。

「遺言書に書いてある金額が不足」していれば、法律上は遺言を一部撤回したことになる

不足分を他の相続人等に請求することを認めるような法律はありませんが、それでは法律上「遺言書に書いてある金額が不足」している状態をどのように理解していけば良いのでしょうか。

民法という法律に次のような規定があります。

(遺言の撤回)
第千二十二条 遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。
(前の遺言と後の遺言との抵触等)
第千二十三条 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
2 前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する

民法|e-Gov法令検索

少しわかりにくいですが、そもそも遺言を書いた人はその後自由に遺言を取り消す(正しくは「撤回」ですが)ことができます。

そして、1000万円相続させると遺言書に書いておきながら、相続開始時点(死亡の時)で10万円しか残っていないということは、通常、本人が990万円使ってしまったと考えるのが普通です。

この「本人が990万円使ってしまった」というのが、上にあげた法律で赤文字にある「遺言後の生前処分」という部分です。

するとどうなるかというと、遺言書には1000万円相続させるとは書いてあるが、990万円は生前に使ってしまったので、その限りで当初の遺言の内容を一部取り消します、と法律上解釈していくことになります。

結局、「Aに現金1000万円を相続させる」という箇所を「Aに現金10万円を相続させる」と読み替えて遺産分けを実行します。

本人以外が使っていて不足した場合は裁判となる(のではないか…)

遺言書を書いた本人が990万円を生前に使っていた場合は、上のような結論になりますが、それでは本人以外、たとえば他の相続人Bが本人に無断で990万円を使っていた場合はどうなるのでしょうか。

この場合は、本来1000万円全額相続できるはずだったAが、勝手に使用したBに対して不足分の990万円を請求することができます。

民法の次の規定が根拠です。

(遺贈の物上代位)
第九百九十九条 遺言者が、遺贈の目的物の滅失若しくは変造又はその占有の喪失によって第三者に対して償金を請求する権利を有するときは、その権利を遺贈の目的としたものと推定する。

民法|e-Gov法令検索

法律の規定を読んでもピンとこないとは思いますが…。償金請求できるとなっていますね。実質は損害賠償請求です。

いずれにしても、Aは不足分をBに請求できる権利を有すると言うだけですから、Bが任意に支払ってくれれば問題は解決しますが、ふつうは簡単には支払わないと思いますので、Aは裁判を起こさなければならないと思われます。

その裁判では「Bは本人に無断で勝手に使ったのかどうか」が争点になるでしょう。

もし本人の承諾があったり、承諾はなくても承諾が推定されるような場合(Bが本人の面倒を見ていて生活療養費などに現金を使ったようなケース)であれば、不足分の請求は難しいと思います。このあたりになると弁護士の先生の専門領域です。

「不足分の請求」ができなくても「遺留分の請求」ができる可能性が

遺言書に書いてある金額に受取額が不足していも、基本的には不足分の請求はできないことは上の説明でお判りいただけたと思います。

ただし、この場合、遺留分の請求はできる可能性があります。というか、不足していることによってその可能性がより高まったとも言えます。

つまり、本来受け取れる額が減ったことによって、受け取れる財産の割合が他の相続人との比較で崩れてしまった訳ですね。

他の相続人は遺言書の通り相続できたのに、あなただけが遺言通りに相続できなくなった、となると、このことであなたの遺留分(法定相続分とは異なる最低の取り分)が、他の相続人に侵害(横取り)されてしまっているかもしれません。

こうした時は「遺留分侵害額請求」といって、他の相続人に対して損害賠償請求をすることができます。

ですから、相続できる財産が予想よりも少なかった、で終わりにせず、遺留分の請求を考えてみることも必要なことでしょう。

当事務所での実例を紹介します|預金を解約した上で相続させるような遺言の例

それでは、以下に当事務所によくある相談事例、解決事例をご紹介します。

次のような内容の遺言書が発見されました。

遺言者は、遺言執行者をして、遺言者の有する預貯金・有価証券などの一切の金融資産を、換価・解約させ、遺言者かかる一切の債務・費用を弁済し、その残額をXに相続させる。

一般的によくみる遺言書の内容です。

このケースでは数カ所の金融機関に預金や株式がありました。これらの金融資産を合計すると3000万円です。

一方、銀行からの借入があり、こちらは5000万円です。

この事例の結末は…

債務が無ければ3000万円を相続できたはずですが、これを上回る5000万円の借入があったために、「残額」は発生せず、金融資産からは何も相続できませんでした。

もしこの遺言が「遺言者の有する一切の財産を、換価・解約させ」という内容だったら、この遺言者には借入額を上回る価値の不動産がたくさんあったので、不動産を売却することで3000万円全額を相続できたかもしれません。

ちなみに3000万円の預金解約金で5000万円の借入金を弁済してもまだ2000万円の借金が残るわけですが、これは遺言書によりX以外の別の相続人が引き継ぎました。

ですから、Xはこの相続では、得することも損することもなかったことになります。

「遺言書に書いてある金額が不足」している場合のケース別対応策

それでは「遺言書に書いてある金額が不足」している場合に、どのような対応をすべきかをケース別に説明します。

相続発生前に不足していることが判明しているときは遺言書の変更手続きを検討

遺言者が死亡する前に、あらかじめ遺言書に書いてある財産が不足していたり、存在しないことが分かっている場合は、当初作成した遺言書を変更する手続きをします。

具体的には、公正証書で遺言書を作っていた場合は、変更の手続きも公正証書で行った方がより良いと考えます。しかし、法律的には変更手続きは自筆証書で行っても問題ありません。

また、すでに説明したように、遺言書に書いてある財産が不足していたり、存在しなくなっている場合は、相続人の間で相続する財産のバランスが崩れているケースがほとんどですから、遺留分の計算も再度した上で、遺言書の変更手続きを検討するのが望ましいでしょう。

相続が発生した後に不足していることが判明したら「遺産目録」を作成し情報を共有

実例として多いのはこちらのケースです。この場合は、遺言書であらかじめ指定されている遺言執行者が「遺産目録・財産目録」を作成して、これを相続人に交付した上で、情報を共有することが大切です。

そもそも遺言執行者には「遺産目録・財産目録」の作成・調整・交付義務があるのですが、特に親族が遺言執行者に選任されているようなケースでは、きちんと実施されていないように見受けられます。

これはトラブルの基ですから、法律(民法)に沿った、遺言の執行手続きが特に重要となるでしょう。

「こん・さいとう司法書士事務所」が選ばれる理由

いかがでしょうか。「遺言書に書いてある金額が不足」する問題は、結局のところ、遺言書の記載内容全体をどのように解釈するのか、という点にも結び付いています。

今回は「現金を相続させる」というとても単純な事例のみを取り上げましたが、実際には実例で取り上げたような「預金を解約した上で相続させる」「財産を換価・解約した上で相続させる」という内容が多数を占めます。

このような場合は、遺言書全体を専門家に診断してもらう必要があるでしょう。

「こん・さいとう司法書士事務所」を遺言執行者に指定することで上記のお悩みは解決

以上を踏まえまして、当事務所「こん・さいとう司法書士事務所」が、これまで多くの上記のようなお悩みをお持ちの皆様から、遺言書を使った相続の手続きの相談先・依頼先に選ばれている理由を以下にお伝えします。

  • 当事務所の「公正証書遺言作成サポート」を利用し、当事務所を遺言執行者に指定した場合は、毎年「財産目録」の無料アップデートを実施しています。これにより「遺言書の金額が不足」という事態は未然に防止でき、相続トラブルを抑止できます。
  • 一般的な司法書士ではなく「相続専門」であるため、相続に関連する裁判所に関する手続き(不在者財産管理人、失踪宣告、遺産分割の調停の申立、相続放棄、相続財産管理人の選任など)、遺言書の作成、遺言執行にも精通しているため安心感がある
  • 「相続専門」だからこそ、個別の事例に応じた的確なアドバイスを貰える
  • パートナー税理士と連携して相続税の申告や準確定申告にも速やかに対応してもらえる
  • パートナー弁護士と連携して他の相続人への交渉や、裁判手続きも対応してもらえる
  • 弁護士・法律事務所より割安な料金で、しかも弁護士より敷居が低く、相談がしやすい環境にある
  • ZOOMによるオンライン対応が可能なため、直接事務所に行けなくてもコンタクトが取りやすい
  • eKYCによるオンライン本人確認に対応しているため、遠方からも依頼ができる
  • 東京都中小企業振興公社(都内の中小企業を支援する東京都管轄の公的機関)の嘱託相談員であるため身分的な信頼感がある
  • 20年以上のキャリアがある司法書士2名(今健一・齋藤遊)体制の為、一般の個人事務所より迅速に対応してもらえる

遺言書を使った相続に関する相談先・依頼先を探されている方が、これらの点を1つでもメリットに感じていただくことができたなら、是非一度当事務所の無料相談をご利用ください。

ご相談お待ちしております! 左|司法書士 今健一  右|司法書士 齋藤遊

最後に|無料相談の連絡は今すぐ

こん・さいとう司法書士事務所は、遺産相続の手続き専門の司法書士事務所です。東京国分寺で20年以上に渡って運営、相続問題・相続に関連する業務に取り組んできました。オンラインにより全国対応をしています。

このページでお伝えしたかったポイントは次の3点です。

  • 「遺言書に書いてある金額が不足」しているときは、現実に残っている金額しか相続できない
  • 不足分があるからと言って他の相続人に請求はできない
  • 遺言の執行は法律上難しい問題を含むので専門家に任せるのがベスト

遺言書を使った相続手続きを、なるべく相続人の負担を少なく行いたいのであれば、ノウハウを有する経験豊富な私たち相続手続きの専門家をご活用・お任せいただければと思います。

専門知識を有する私たちであれば、さまざまな疑問にお答えできます。また相続に関連する問題・相続税の申告に強い提携の税理士や弁護士もおりますので、全方向のサービス・サポート・代行・紹介が可能です。当事務所なら、ばらばらに専門家を探す手間が省けます。

いまなら毎週土曜日に面談(対面・非対面)による無料相談を受け付けしています。また無料相談は平日も随時実施しています。
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