【司法書士監修】遺言書に記載のない財産は誰が相続するのか|6つのよくある事例紹介

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相続人の方から「遺言書に記載がない財産は誰が相続するのか?」とか、「遺言書に記載されてない財産があったらその遺言書は無効なのか」いう質問を受けることがよくあります。

この問題は特に手書きで書かれた「自筆証書遺言」に多く発生します(もちろん公正証書遺言でも少なからず起こりえる問題ではありますが…)。

同じようなお悩み・疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。

このページでは、創業20年以上、地域随一の相続専門の司法書士事務所であるこん・さいとう司法書士事務所が、遺言書に書かれていない遺産がある場合の解決方法について解説します。ぜひ参考にしてください。

「遺言書に記載のない財産」があっても、遺言書自体は有効

まずは、遺言書に記載のない財産が発覚した場合、その遺言書の効力がどうなるか、という問題ですが。

こちらについては、少なくとも、遺言書に書かれている財産をどう分けるかについては、遺言書の記載通りに相続していくことになりますので、このまま有効という扱いになります。

一部記載がない財産があるからといって、その遺言書が直ちに無効になると言うことはありません。

「遺言書に記載のない財産」の相続先は遺産分割協議で決める

原則として、遺言書に記載のない財産があるとわかったら、その財産を誰が相続するかは、相続人全員の話し合い、つまり遺産分割協議で定めることになります。

何の協議もなく自動的に誰かのモノになると言うことはありません。

そもそも遺言書には全部の財産を細かく書いておく必要があるのか?

遺言書を作成するときに、遺言書にすべての財産を細かく明示しておく必要は原則としてありません。

ただし「どの財産を誰に相続させる」と言うように、あえてどの遺産かを特定して相続させるような内容にする場合は、対象となる財産が分かるように細かく書いておく必要があります。

しかし、細かく特定して丁寧な内容になればなるほど、今回問題となっているような「遺言書に記載のない財産」が亡くなった後に発覚すると言う困ったことになります。

一番問題無いのは「財産全部を〇に相続させる」というシンプルなもの

相続させる財産の書き洩らしを防止するという観点で考えると、「自分の財産全部を〇に相続させる」という極めてシンプルな内容が一番いいです。

こうすれば、財産全部が相続されることになるわけですから、「遺言書に記載のない財産」というのがあり得ないわけです。

ただし、遺留分の観点から考えるとお勧めできる内容とは言えませんし、数ある遺産を複数人に分割して相続させる場合には使えない文言なので、こちらを使える場合というのはかなり限定されるかなという感じがします。

よくある実例を紹介します|9割はどれかのケースに当てはまると思います

それでは、以下に当事務所によくある相談事例、解決事例をご紹介します。

「遺言書に記載のない財産」というのを広く解釈して、「遺言書からは明確に読み取れない財産」があるケースも含めて解説します。むしろそちらの方が実務的には難しいところなのですが…。

あなたがお困りのケース、調べたいと思っているケースも、9割くらいは以下のいずれかのケースに該当するかと思います。

事例1|不動産の物件の表示が間違っているケース

遺言書で相続させる不動産を特定する場合は、通常、登記簿(登記事項証明書)の記載通りに書きます。まだ登記されていない建物(未登記建物)については、固定資産税評価証明書の記載通りに書くのが一般的でしょう。

そしてその記載内容にごく軽い記載ミスがあった場合(たとえば明らかに地番を間違えて記載していたようなケースなど)、そのミスを補完できるような書類(たとえば相続人の署名捺印がある物件を特定する確認書等)を添付すれば大丈夫なことが多いです。

大丈夫というのは、不動産の場合は、最終的には法務局に名義変更(相続登記)の申請をしなければならないので、管轄の法務局の担当者(最終的な決裁権を有するのは「登記官」という人)が承認すれば大丈夫という意味です。

事例2|不動産の物件の特定が曖昧なケース

こちらもよくあるケースです。例えば「私の住んでいる土地と建物を相続させる」と遺言書に記載されている場合です。

この場合は、遺言者がここに住んでいたということを証明する書類(例えば住民票の除票など)を添付すれば大丈夫なことが多いです。

しかし、上で説明した<事例1>と同じように、管轄の法務局の担当者がどのように判断するかによります。

もっと困るのは「私の住んでいる家を相続させる」と遺言書に記載されている場合に、底地の土地部分も同じ人に相続させる意味となるのか否かという点です。

こうなると法務局では「家の相続」についての名義変更しか認めないので、名義変更の前に、相続人や遺言執行者の間でこの遺言の内容をどのように解釈すべきかを協議することになります。

協議が成立すれば「遺産分割協議書」を別途作成して、土地だけ「遺産分割協議書」を添付して名義変更を行うことになるでしょう。

協議が成立しなければ、裁判の中で土地も含まれるのか否かを争っていくことになると思われます。

事例3|借地権付き建物で借地権の表示がないケース

借地権付きの建物が相続の対象となる場合、私たちのような専門家が関与して遺言書を作成するときは「借地権の表示」として、借りている土地に関する情報(登記簿の記載内容や賃貸契約期間・地主など)を記載します。

しかし、一般の方が自分で作成した遺言書だと「借地上にある下記建物を〇に相続させる」と建物の表示のみ書いて、借地権については詳しい記載がないというケースがほとんどです。

ただし、このような内容であっても最低でも「借地上にある」とか「借地権付きの」とさえ書かれていれば、借地権付き建物の相続と理解できますので、特別な問題はありません。

つまり借地権の相続先をわざわざ遺産分割協議で定める必要もなく、建物を相続した人が借地権も同様に相続したものと解釈ができ、手続もできるということになります。

事例4|マンションの共用部分(集会場やゴミ置き場等)の記載がないケース

区分されているマンション(〇号室・△号室というように部屋ごとに別々に登記がされているマンションのこと)を相続する場合に、そのマンションの共用部分(例えば集会場や管理人室・ポンプ室等)の記載が無かったらどうなるのでしょうか。

マンションの共用部分については2種類があるとされています。

  1. 規約共用部分とされている場合
  2. マンションの住民の共有となっていて例えば「持分1500分の13●●」と部屋とは別に登記されている場合

「1」の場合は遺言書には書かれていなくても大丈夫です。マンションの部屋が相続されれば、自動的に共用部分も相続されるというイメージです。

「2」の場合は遺言書に書かれている必要があります。もし記載がなければ「遺言書に記載のない財産」ということになりますので、別途相続人全員で遺産分割協議をして相続する人を決める必要があります(マンションを相続する人と同じ人になるとは思いますが)。

「1」になるのか「2」になるのかは、規約部分の登記簿を取得してみればわかります。

事例5|私道部分の記載が漏れているケース

こちらもよくあるケースです。相続させる土地と建物は遺言書に書かれているが、私道部分が抜けているという場合です。

登記を受け付ける法務局として「土地と建物を相続する人が私道も相続する」とは勝手に解釈できません。

したがって「遺言書に記載のない財産」ということになりますので、別途相続人全員で遺産分割協議をして相続する人を決める必要があります。

事例6|「金融資産」とだけ書かれているケース

遺言書に「金融資産を〇に相続させる」と書かれている場合に、「金融資産」の中に何が含まれるのかがよく分かりません。

法律的にはこの場合、被相続人の預金や貯金、投資信託や株式は相続できると解釈して異論のないところだと思います。それでは「現金」はどうかと言われると何とも言えません。

その現金が遺産全体からして微々たるものであれば「金融資産」に含めて相続しても問題ないでしょう。

しかし、現金が数百万~数千万円となると、はたして「金融資産」に含めて相続しても良いかははっきりと言えないと言うか、最終的には相続人で判断してもらう(それができなければ裁判で決着する)しかないと思われます。

「遺言書に記載のない財産」を防止できる予防策とは?

このように「遺言書に記載のない財産」があると、これを残された相続人が迷惑を被ることになります。

それでは「遺言書に記載のない財産」を防止するためには、遺言書にどのような工夫を施せばよいのでしょうか。

一つ考えられるのは遺言書の最後の方に「遺言書に記載のない一切の財産は〇に相続させる」と書いておくことです。こうすれば、万が一記載漏れがあっても、相続人側で相続先を別途定める必要はなくなります。

「遺言書に記載のない一切の財産は…」とすることで問題が生じることも

それでは「遺言書に記載のない一切の財産は〇に相続させる」と書いておくことが万全な対策かというと、必ずしもそうではなく、新たな問題を生じさせることもあります。

たとえば上で説明した<事例5(私道が漏れていたケース)>で言いますと…。

「土地と建物はAに相続させる。その他一切の財産はBに相続させる」と遺言書に書かれていたとします。私道部分が漏れています。

この場合、遺言書の通りに相続すると土地と建物はAが相続して、私道だけBが相続することになってしまいます。

通常、私道部分は土地建物を所有する人と同じ人が所有するから価値や意味があるものとなるので、このように所有者が異なる状態になることは好ましくないのです。

このように一件万能のように思われる「遺言書に記載のない一切の財産は〇に相続させる」という文言も、想定外の問題を引き起こすこともありうるということは認識しておく必要があるでしょう。

「こん・さいとう司法書士事務所」が選ばれる理由

いかがでしょうか。「遺言書に記載のない財産」の問題は、結局のところ、遺言書の記載内容全体をどのように解釈するのか、という点にも結び付いていることが理解いただけたでしょうか。

以上を踏まえまして、当事務所「こん・さいとう司法書士事務所」が、これまで多くの上記のようなお悩みをお持ちの皆様から、遺言書を使った相続の手続きの相談先・依頼先に選ばれている理由を以下にお伝えします。

  • 一般的な司法書士ではなく「相続専門」であるため、相続に関連する裁判所に関する手続き(不在者財産管理人、失踪宣告、遺産分割の調停の申立、相続放棄、相続財産管理人の選任など)、遺言書の作成、遺言執行にも精通しているため安心感がある
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ご相談お待ちしております! 左|司法書士 今健一  右|司法書士 齋藤遊

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こん・さいとう司法書士事務所は、遺産相続の手続き専門の司法書士事務所です。東京国分寺で20年以上に渡って運営、相続問題・相続に関連する業務に取り組んできました。オンラインにより全国対応をしています。

このページでお伝えしたかったポイントは次の3点です。

  • 「遺言書に記載のない財産」がある遺言書でも直ちに無効とはならない
  • 原則として「遺言書に記載のない財産」の相続先は遺産分割協議で決める
  • 「自分の財産全部を〇に相続させる」という内容なら財産の記載漏れはありえない

遺言書を使った相続手続きを、なるべく相続人の負担を少なく行いたいのであれば、ノウハウを有する経験豊富な私たち相続手続きの専門家をご活用・お任せいただければと思います。

専門知識を有する私たちであれば、さまざまな疑問にお答えできます。また相続に関連する問題・相続税の申告に強い提携の税理士や弁護士もおりますので、全方向のサービス・サポート・代行・紹介が可能です。当事務所なら、ばらばらに専門家を探す手間が省けます。

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